学選の記事が載りましたが、ここでハンググライダーの大会について振り返ってみましょう

そろそろ大学受験を終えた受験生の皆さんが、大学に入って何をしようかなーと色々なサークルのHPを巡回している頃でしょうか。そうした方々がこのblogを見つけて読んでくださっているとすれば、ありがたい限りです。
さて、このblogを読んでいる方の中にはおそらく、そもそもハンググライダーの大会って何を競うんだ?と思っている方もいるでしょう。そこで、単に「空を飛べて楽しい!」というだけに留まらないハンググライダーの魅力の一つとして、大会ではどんなことをしているのかをお伝えしたいと思います。

2013年度には、ハンググライダーの学生大会が2回行われました。SYLPHが普段活動している足尾エリアで8月に行われたnasa STUDENT CUP(通称nasaS)、そして2月に和歌山にあるエリアで開かれた全日本ハンググライダー学生選手権(通称学選)です。こうした大会では、2ndクラス・1stクラス・エキスパートクラスの3つのクラスから、自分のレベルに見合ったクラスに出場することになります。競技内容もクラスによって違います。
まず、着陸の正確さを競うターゲット競技(アキュラシーとも)。よく「狙った場所にちゃんと降りられるの?」と聞かれますが、田んぼ数枚分ある着陸場に降りるのは、山から飛べる人なら誰でもできます。しかし、狙った一点に正確に降りるとなると難しい。風の強さや向きを始めとしたコンディションを考慮し、うまくグライダーを操作する必要があります。このターゲット競技では、決められた地点から着陸した場所までの距離の短さを競います。
滞空時間を競うのがデュレーション。テイクオフしてからどれくらいの時間飛んでいられるのかは、気象条件とパイロットの腕次第。上昇気流(サーマル)のある場所で旋回したり、山の斜面に当たって吹き上がる風を利用したりすることで高度を上げ、できるだけ長く飛ぶ競技です。高度を上げる難しさの一つが、サーマルが目には見えないということ。どこにあるかわからないサーマルを探すために、雲の発達を眺めたり風を感じたりととにかく感覚を総動員します。どこにサーマルができやすいのかという知識も必要です。
ターゲットとデュレーションは2ndクラスで行われます。それより上の1stクラスで行われるのがサーキットレース。3ヶ所か4ヶ所、パイロンと呼ばれるポイント地点を定めてぐるぐる回る周回コースを設定し、その上空を飛んで、決められた時間内に到達したパイロンの数を競うものです。そして、一番上のエキスパートクラスの競技がパイロンレース。パイロンを順番に通過してゴールに向かうコースをできるだけ短時間で飛ぶ、いわば空中オリエンテーリングです。
1st,エキスパートクラスでは、技術だけでなく戦略性も問われてきます。ある場所からある場所へ普通に飛べば高度が落ちてしまう。なので、パイロンから次のパイロンへ直線で向かうより、高度を上げられる場所に寄り道した方が有利になる、ということが起こりうるわけです。さらに、サーマルのある場所でいつも旋回すればいいというわけではなく、上昇率の悪いサーマルや、風で自分が流されてしまうようなサーマルは、利用すると得なのか損なのか判断しなければなりません。また、スピードを出すと高度が落ちやすくなるため、最適なスピードを考えて飛ぶ必要があります。こうした戦略性は全て、高度を稼ぎながらレースをしなければならないという、フィールドが3次元であるハンググライダーならではの面白さに由来するものです。ここには他のスポーツでは味わえない緊張感があります。
自分が他の選手たちよりも高いところにいると優越感が持てるし(まさに他の選手たちを見下ろす感じ!)、自分より高い選手と空中ですれ違ったり抜かされたりすると悔しい!と思うわけです。これが白熱する瞬間です。競技自体の面白さだけではなく、自分が普段飛んでいるエリアと違うエリアで飛べることや、関西とか東北とか他の地域の大学の選手と交流できることも大会の醍醐味の一つです。

ハンググライダーの大会でもう一つ特徴的なことは、ほとんど学生だけで運営されているということ。安全に関わる部分はプロのインストラクターの方に協力していただきますが、それ以外、スタッフから得点集計、実行委員長に至るまで全て学生です(筆者は昨年nasaSの実行委員長を努めましたが、その時の記録がこちら)。ハンググライダーがマイナースポーツであるが故の苦労ですが、学生の手によって作り上げられる大会は魅力的なものです。例えば足尾エリアでは年にハンググライダーの大会とパラグライダーの大会が行われますが、ハングの大会ではパラの選手が、パラの大会ではハングの選手がスタッフとして手伝って大会を盛り上げていくわけです。助け合いです。余談ですが、とある先輩は面接で実行委員長を努めた話をして大手自動車メーカーの内定を勝ち取ったとか。まあそんな風に直接役に立つかはともかくとしても、大会運営に携わるといい経験になります。 本当に。

誰でも最初は空を飛びたい!と思ってハングを始めます。でも、いざ空を飛べるようになってみると、まだ飛べなかった頃には想像もしていなかったような楽しみ方がまたさらに見つかります。自分も先日の学選に出場して、これから大学生活が忙しくなってもハングを続けていきたい! と思いを新たにしました。
ここまで読んでくれた方、大会の競技って難しそうだな…と思いましたか?新入生は5月にハングの練習を始めると、夏の終わりから冬には飛べるようになり、その次の夏の大会にはもう出られるようになります。少しでも面白そうだと思ったなら、スカイスポーツを始めること、考えてみてください。

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1 Response to 学選の記事が載りましたが、ここでハンググライダーの大会について振り返ってみましょう

  1. たっき のコメント:

    筆者は竪山か
    はやければ一年の冬にも全国大会に出られるようになるよー
    がんばれー

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